とっとりの手仕事
日本海から中国山地までの豊かな自然に囲まれた鳥取市。自慢できるのは食べ物だけではありません。
実は、鳥取市には日々の生活をちょっと素敵にする、手仕事の作り手が多く集まっています。ものづくりに関心が深く、高い志で活動する人も多い街。受け継がれてきた伝統の技を継承し、その伝統の技に学びながら新たな作品づくりに挑戦し続けています。
料理の腕を格段にあげる「ホーロー鍋」
市内にある「太洋住研ホーロー」が、創業以来半世紀にわたって積み上げてきたスキルを基に、2016年に商品化したホーロー無水調理鍋「grive(グリヴ)」もその一つ。料理が文化として認められる中、注目度急上昇中と聞いて、さっそくお話を伺ってきました。
商品開発にとりかかったのは5年ほど前。日々多くのキッチン用品・調理器具が生み出される中、国内の鋳物メーカーが鋳物の無水調理鍋を売り出したのがきっかけでした。「ホーローで作った鍋の方が、絶対に使いやすい!」。そう感じた製造統括部長・吉澤浩さん。自社製品づくりは初となるものの、10人ほどのプロジェクトチームをつくり、「最高の無水調理鍋」の開発をスタートしたのです。
使い勝手のよさは「へこんだ蓋」がポイント!
ホーロー製品の製造はノウハウがあるものの、無水調理鍋の特性開発やデザインはゼロからのスタートでした。社員だけでなく、取引先や関連会社の情報と知恵を集めてスペックを考えること2年。蓋の真ん中をへこませることで、鍋つかみを使ってもつまみをつかみやすく、また、蓋の裏に付いた水滴が鍋の中に自然に戻っていくことで吹きこぼれにくいという形状にたどり着きました。
開発期間の半分は蓋の形状の研究に費やしたというこだわりの逸品。商品名のグリヴは、「グリップ(grip)が効くから蓋がつかみやすい鍋(ヴェッスル=vessel)」という意味の造語で、社員の皆さんの情熱が込められています。
仕上げにも細やかな気配り
形もさることながら、鍋の内側は腐食しにくい釉薬を3度焼き付ける3層構造にして耐久性を向上させたのも、他のメーカーには見られないこだわり。「薄い」「軽い」がトレンドになりつつある中、グリブは厚さ2.9ミリの鋼板を使って蓋が1キロ、本体が2キロの計3キロ。しかし、このずっしりとした重さがうまみを閉じ込め、料理を一層おいしく仕上げるのです。
キッチンに馴染みやすい白のほか、新婚所帯に似合いそうなチェリーピンク、男の台所にピタリと来そうなインディゴブルーや黒など6色あり、どの色の顔料も環境に優しい素材を使っています。このうち、とっとり市では3色を販売中です。
様々な食材の煮込み方や調理方法を科学的に検証したレシピも公開。「とにかく、何でも柔らかく煮ることができます。この季節、スジ肉などを煮込んでもらえば、グリヴの良さを分かってもらえるはず」と吉澤さん。会社の持てる技術を集大成して完成したと、まるでわが子の誕生を喜ぶ親のような笑顔が印象的でした。
鳥取の手仕事・手作りに注目
グリヴのホーロー加工はまさに手仕事で、製造個数は1日に10個が限度。釉薬を均一に吹き付ける工程など高い技術と作業適正が要求され、数人の巧みな職人さんにしか任せられないそうです。
鳥取市には同じように、ものづくりの伝統を引き継ぎ、あるいは生かし、そして新しい風を吹かせようというこだわりのムーブメントが根付いています。皆さんもこの機会に、手仕事・手作りへの情熱に触れてみませんか?
~ とっとり市のお店紹介~
Grive Shop - グリヴショップ
grive(グリヴ)20㎝ スノーホワイト
鳥取の琺瑯屋の伝統ある技術から生まれた究極の無水調理 ホーロー鍋、grive。抜群の保湿性・熱伝導性・耐久性を実現しました。
無水調理はもちろん、煮込み料理、保温料理、ごはんも吹きこぼれせず、おいしく炊きあがります。
色は6色展開で、とっとり市ではそのうち3色を販売中です。
24,000円